駿豆線 全駅途中下車
三島と修善寺を結ぶ全長19.8㎞の伊豆箱根鉄道駿豆線
地元の方々の通勤・通学、買い物の足など生活路線であると同時に、JR東日本の特急踊り子号も乗り入れる観光路線でもあります。
地元では「いずっぱこ」と呼ばれる駿豆線には13の駅がありますが、その全駅で下車してみました。
某BS番組のように1泊2日の旅ではなく、土曜日のほぼ半日だけの全駅制覇のため、単に下車しただけという駅もありますが、駅周辺の気になった場所やグルメなどを紹介したいと思います。
01.三島駅
駅弁が充実
伊豆観光の玄関口三島駅。休日ともなれば南口駅前は観光客で大いに賑わっていますが、三島駅は駅弁も充実しています。
三島駅の駅弁といえば「桃中軒」ですが、種類も豊富でどれを選ぶか目移りしてしまいます。駿豆線駅舎に隣接するJR三島駅南口に店を構えていて、土日は観光客で賑わっています。(南口以外では、北口改札内の新幹線待合室と新幹線ホームでも販売されています。)
さて、何を買うか、一番人気の「港あじ鮨」もいいですが、「桜えびめし」も食べてみたい。地元駿河湾でしか取れない桜えびを使った炊き込みご飯やかき揚げが入ったここでしか食べられない駅弁です。迷ったときは両方買えば後悔しないだろうと、両方購入しました。
味よし、ボリュームも満点の桜えびめし
桜えびめしは、 桜えびの香りがいい具合にダシに効いている炊き込みご飯に、桜えびのかき揚げ、キスの天ぷら、昆布の天ぷら、卵焼きにチキンのてりやき、焼き魚まで入ってボリュームも満点です。某駅弁番組でイチ押しと言ってましたが、確かに旨いし、おすすめの駅弁です。
小さなすりおろし器と生わさびが付いている港あじ鮨
キオスクでも買える駅弁
桃中軒のすぐ右隣がキオスクですが、実はここでも駅弁を販売しています。
伊豆長岡に店を構える寿司割烹「だるま」が作る「伊豆山海おぼろ寿司」と「源氏旗あげ寿司」です。だるま本店でも売っていないJR三島駅でしか買えないお弁当ですが、さすがに今回は見るだけにしておきましょう。
駿豆線1日乗り放題乗車券「旅助け(たびだすけ)」
まずは、三島駅の改札窓口で駿豆線1日乗り放題乗車券「旅助け(たびだすけ)」を購入します。
料金は1,020円、三島-修善寺往復が1,020円なので、あまりおトク感があるとは言えませんが、三嶋大社の授与品『三嶋駒』をイメージして製作された硬券素材の切符で、記念品になると思います。
踊り子号で修善寺へ向かいます。
駿豆線には毎日2往復、JR東日本の特急踊り子号が乗り入れています。さらに土曜運転や特定日運転もあり、一日最大4往復の踊り子号が駿豆線を走っています。
この踊り子号は熱海で下田方面行と分離され、駿豆線には5両編成でやってきますが、うち2両が自由席で、自由席は駿豆線内特急券不要、乗車券のみで利用することができます。
まずは、三島駅から10:40発の踊り子105号で一気に修善寺駅まで向かい、修善寺駅から一駅ずつ三島駅まで戻ることにします。
駿豆線のホームは改札を入ってすぐにあるのですが、踊り子号は駿豆線のホームではなく、JRの1番線ホームから発車するのでそちらに向かい、入線を待ちます。
窓が開く貴重な特急列車
駿豆線に使われる踊り子号の車両は旧国鉄の185系電車です。運用開始から35年も経過しているため、くたびれ感は否めませんが、窓が開く貴重なJRの特急列車で、わずか30分弱とはいえ、昔懐かしい列車の旅の雰囲気を味わえます。左の写真は韮山駅辺りの車窓ですが、色々な区間やホームから富士山が望めるのも駿豆線のいいところです。
ちなみに、色々な時間帯で駿豆線内の踊り子号に乗っていますが、自由席はいつも空いていて、座れなかったことはありません。
13.修善寺駅
修善寺駅には28分で到着
三島から修善寺までは通常35、6分かかりますが、踊り子号は通過する駅もあるため28分で到着しました。
ここから三島方面へ折り返し、順に途中下車することにします。20分ほどの待ち時間を利用して駅と駅周辺を見て回ります。
修善寺駅は2014年に駅舎が建て替えられ、同時に周辺の整備も行われ、非常にきれいな駅に生まれ変わりました。
南口は隣接する市や町、伊豆半島各方面へのバスの発着場所になっており、北口には駐車場が整備されています。
伊豆箱根鉄道の制服で記念撮影
修善寺駅のホームには記念撮影用の制服が置いてあります。「修善寺まきの」(実際の鉄道事業者の現場で活躍する制服を着たオリジナルキャラクターである鉄道むすめの一人で、彼女は駿豆線の駅務係だそうです。)
そういえば、三島駅で交代した踊り子号の女性車掌が、この「修善寺まきの」に制服だけでなく雰囲気もとってもよく似ているといって、一部の乗客が騒いでました。
構内売店「イズーラ修善寺」
駅構内にある売店ですが、伊豆の観光土産や地元の名産品・特産品の品揃えが充実しています。伊豆箱根鉄道オリジナル商品もあり、そば・うどん・軽食コーナーが併設されています。
まさに絶品!武士のあじ寿司
修善寺駅にはここでしか買えない、ここで買うしかない絶品の駅弁があります。「武士のあじ寿司」です。
これを駅弁の範疇に入れていいのかと悩むほど、駅弁でよくあるあじ寿司とは一線を画する、モノが違うという逸品です。
まず、見た目が豪華です。やや小振りですが蒔絵や錦絵を思わせるような鮮やかなデザインの容器を開けると、隙間なく並べられた肉厚の鯵に、トッピングされた刻んだショウガに山葵が目に飛び込んできます。静岡産コシヒカリ、伊豆近海の地アジ、伊豆松崎の桜葉、伊豆修善寺のしょうゆ、そして伊豆天城の生ワサビと地元伊豆産にこれでもかとこだわった食材がぎっしり詰まっているのですが、味も絶品です。
程よく酢で〆った鯵はもちろん、白ごまがまぶされた酢飯の酢の具合もいいあんばいで、さらには酢飯の中から顔を出す桜葉漬の塩味がいいアクセントになっています。
駅弁の押し寿司の中には、ネタは薄っぺらく、中にはひからびたような切れ端が載かっているようなものもありますが、こちらの鯵は新鮮そのもの、下手な寿司屋で食べるあじ寿司よりも美味いものがいただけます。
南口の正面にある「駅弁カフェ たけし」では、駅構内で買ったあじ寿司など駅弁をこちらに持ち込んでいただくことができます。
飯田わさび店
南口を出てほんの少し右手に歩くとあるわさび漬けのお店です。
わさび漬などの製造卸売り直売店で、色々な種類のわさび漬けやお土産が売っています。
おすすめは小さなパックに入ったわさびのり。よくスーパーで売っているものとは味が違います。美味しいです。1パックの値段も安いし、お土産にも自宅で食べるのにもどちらにも使えます。
12.牧之郷駅
無人駅です。駅のすぐそばに酒屋さんか雑貨屋さんかというお店がありましたが、この日は営業していない様子でした。次の電車まで駅の東側中心に少し歩いてみましたが、お寺がある程度で、お店らしきものは見当たりませんでした。もちろん周りには民家や工場もあるのですが、駿豆線の中ではもっとも閑散としている駅周辺でした。
11.大仁駅
特急踊り子号も停車する駅で、有人駅です。自動改札機もありました。
ホームには今はあまり見かけない手洗い場が設けられています。
駅前のローターリーには足湯があります。
長嶋茂雄ロード
大仁は、かって巨人軍の長嶋茂雄が自主トレの拠点とした場所として有名で、長嶋茂雄がトレーニングをしていた道などに「読売巨人軍長嶋茂雄ロード」と命名し、観光客誘致に努めようとしているようですが、今一つ盛り上げに欠けているような気がします。
観光案内所
駅前には町の案内所が設けれています。地元のおばさんが案内役なのですが、あまり積極的でなさそうで、やっつけ感が感じられる案内所です。長嶋茂雄にもあまり詳しくなく、興味もなさそうでした。
ひらい精肉店
大仁駅から徒歩6、7分、狩野川に架かる赤い大仁橋の手前にあるお肉屋さんです。
しずおか農産物認証を受けている伊豆牛を唯一生産しているひらい牧場の直営で、精肉だけでなく、伊豆牛メンチや伊豆牛コロッケなども一個からお手軽に買うことができます。
伊豆牛メンチを普通のメンチと食べ比べてみましたが、甘みがありジューシー、ソースなしでも美味しくいただけました。駅から少し歩きますが、買いに行く価値はあると思いますよ。
大仁温泉大仁ホテル
長嶋茂雄がこちらに泊まって自主トレを行ったことで有名なホテルで、大仁駅からは800mほどの距離ですが、結構きつい坂を上がることになるので、遠くから眺めるだけにしました。
今は伊東園グループで、他の伊東園ホテル同様一泊二食(バイキング)付で8,800円(税別)で泊まれるのですが、一人でも宿泊可能なことや、広い部屋と源泉かけ流しの温泉で人気のようです。
そして、他の伊豆地区の伊東園とくらべて食事がいい、という評判もあるようです。バイキングの食事はどこも同じような気がしますが、地酒を含めてアルコールも飲み放題のようなので、今度行ってみようかなと思っています。
10.田京駅
単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の小さな駅で、他の駿豆線の多くの駅同様改札口は一か所のみです。改札側にはお店が数店と信用金庫があるくらいですが、反対側に回ると伊豆の国市役所大仁支所があり、その周りにはマックスバリュやホームセンター、飲食店も点在しています。
広瀬神社
田京駅の改札を出て大仁方面へ6、7分歩くと大きなクスの木が目立つ神社があります。創建が天平年間(730年頃)とのことですからかなり歴史のある神社です。
101回目のプロポーズで武田鉄矢扮する星野達郎が、お百度参りをした神社だそうです。
シーダーマウンテン
田京駅から徒歩5,6分、隣接のお肉屋さんが経営する地元では結構人気のステーキハウスのようです。
特にランチがおトクのようで、日替わりランチは1,180円、ステーキも一番安い赤身ステーキは150gで1,200円、いずれもライス、スープ、サラダ、デザート、紅茶・コーヒーが付いていて、これらはバイキング形式でおかわり自由です。
お代わりのライスは牛肉の炊き込みご飯で(白いご飯も注文できます。)、値段を考えるとなかなか中身の濃い内容だと思います。
09.伊豆長岡駅
伊豆長岡温泉の最寄駅で、特急踊り子号も停車します。駅舎の中にコンビニがあり、駅前には伊豆の国市観光案内所も設けられています。
また、世界遺産「韮山反射炉」の最寄駅で、駅前から韮山反射炉や江川邸など観光地を巡回するシャトルバスが運行されています。せっかくですからこれに乗ってみることにします。運賃は1回乗車100円です。
韮山反射炉
シャトルバスで10分ほどで到着。歩けない距離ではありません。
実は、世界遺産に認定される前にも何度か来たことがあります。当時と比べて周りがきれいに整備されているとはいえ、反射炉自体はそう大きなものでもなく、ピラミッドやサグラダ・ファミリアなど名だたる世界遺産と比べること自体がナンセンスかもしれませんが、正直物足りなさを感じます。
茶畑から見る世界遺産共演
反射炉の東側の小高い場所にある茶畑で、ここから反射炉とその向こうに富士山という、二つの世界遺産が望めます。5分も歩けば上がれるので、行ってみることをおすすめします。
茶摘み娘
春と秋のシーズン、茶畑で茶摘み体験を行うことができます。反射炉側のお土産を売っている物産館で申し込むのですが、かすりの着物に着替え、可愛い茶摘み娘に変身することができます。
蛭ケ小島公園
源頼朝が流されたと伝わる地で、平家討伐に挙兵するまでの20年近くをこの地で過ごしたと言われています。この間北条政子と出会っています。
流刑地といっても、気候は温暖だし、この辺りは水も食べ物も美味しいじゃないかと思うのですが、当時は地名のとおり蛭がうようよいるような湿地帯だったのかもしれません。
江川邸
江戸時代のお代官様の住宅です。反射炉からシャトルバスでやってきました。歩くにはちょっと距離があります。反射炉とセットになった入場券も販売されています。
主屋のほか、米蔵や武器庫なんかも残っていて、立派な表門からも当時の代官の権力の大きさを垣間見ることができます。また、江川家36代の江川英龍は、ペリー来航後の江戸幕府において西洋砲術の普及・台場築造・反射炉建設・農兵の採用などで重要な役割を果たしており、そういったあまり知らなかった事実も豊富な展示物から知ることができました。
08.韮山駅
江川邸から道に迷いながら30分以上かかって韮山駅に到着です。(迷わずに行けば徒歩20分程度とのことです。)
駅のすぐそばに伊豆の国市韮山文化センターや韮山図書館の立派な建物が建っています。江川邸から歩きで疲れていたため、周りの散策はしていません。
韮山駅前の飲食店のメニューに「反射炉の大砲うどん」なるものを発見
調べたところ、食材は韮山地場産のトマト・シメジ・ネギ・ちくわ・ワカメ。うどんは腰めん。薬味は伊豆名産ワサビ・一味・七味。大砲はちくわを天ぷらにした後、寿司のりで巻く。砲弾はトマトを湯煎し味付けする。とのことです。
07.原木駅
韮山駅から再び電車に乗って次の原木駅で下車。無人駅です。駅の東側は一面畑が広がり、西側は住宅地になっているものの、駅前に商店は見当たらず、喫茶店が1軒あるだけです。
改札からほんの100mも歩けば国道136号線に出るのですが、国道に原木駅入口のような案内標識は見当たりませんでした。
因みに原木はバラキと読み、東京メトロ東西線の原木中山と同じ読み方です。
駅の周りにあるのは畑と住宅と、この1軒の喫茶店のみ
06.伊豆仁田駅
仁田は「にった」と読みます。最初地名かなと思っていたのですが、この駅の開業に尽力した仁田大八郎という人物から取ったようです。
駿豆線の多くの駅は、再開発されないまま改札口を出るとすぐ民家が建っているという典型的な田舎(失礼)の佇まいなのですが、この伊豆仁田駅も同様で、駅前には小さなお店はあるものの、スーパーはなく、コンビニも見当たりません。(5分ほど歩けばセブンがあるようですが)
しかし、こういった佇まいの中、駅の真ん前に古い民家を改装したオシャレなカフェがあります。
とってもおしゃれなカフェ「irodori」
古い日本家屋を改装したこのカフェ「irodori」のオーナーは山中湖の有名なカフェ「ペーパームーン」で店長をしていたそうです。独立に際して地元のこちらで店を開かれたそうで、もう10年近くになるそうです。
と、お店の前で掃除をされていた年配の方が教えてくださったのですが、この方はオーナーのお父さまでした。
入口の黒い門からしてオシャレですね。ちょっと中に入ってみると庭があり、庭から覗く店内は満席状態。こういう場所でゆっくりお茶とケーキを楽しみたくなる気持ちは良くわかりますね。
テイクアウト
05.大場駅
商店や小さいながらも地元スーパーが駅前に並びます。駿豆線の中で一番生活感が溢れ賑やかな駅です。伊豆箱根鉄道の本社と車両基地もあり、車両基地にはED31系機関車の姿も見ることができます。
04.三島二日町駅
駅近くに横浜ゴムの三島工場や森永製菓の三島工場があるので、もっと大きな駅で、駅前も賑わっていると思っていたのですが、駅舎も小さく、駅前を見渡しても小さな居酒屋が一軒あるだけです。
三島二日町の駅から。沿線至る所で富士山を望めます。
03.三島田町駅
三島大社の最寄り駅で、駅前にはスーパーや飲食店もあります。また三島で唯一のショッピングセンターである日清プラザの最寄り駅でもあります。
地元で人気のスリランカ料理のお店「セイロンパラダイス」
薬膳風味のスパイスがくせになるカレーはボリュームも満点(食事は別の日)
こちらはその店名通りいなり寿司が評判の「いなりや」。持ち帰りできます。
02.三島広小路駅
駿豆線の中では最も繁華街に近く、三島の中心地にある駅ですが、おそらくホームの大きさ・長さで言えば、一番小さく、短いような気がします。
三島広小路駅越しに見る富士山
駅を降りると香ばしい匂いが漂ってくるのは、うなぎどころ三島でも一番の人気を誇る「桜家」のうなぎを焼いている匂いです。
時期には蛍も見ることができる清流がせせらぐ源兵衛川もすぐ近くです。
今三島で人気のメロンパンのお店「メロンドゥメロン」
ここからは、ぶらぶらと散策しながら三島駅へ戻ることにします。
所要時間:約7時間
三島駅 10:40
↓ (踊り子109号)
修善寺駅 11:08
修善寺駅 11:29
↓
牧之郷駅 11:32
牧之郷駅 11:47
↓
大仁駅 11:51
大仁駅 12:25
↓
田京駅 12:29
田京駅 12:54
↓
伊豆長岡駅 12:58
伊豆長岡駅前 13:30
↓ (シャトルバス「歴バスのる~ら」)
韮山反射炉 13:40
韮山反射炉 14:30
↓ (シャトルバス「歴バスのる~ら」)
江川邸 14:40
↓ (徒歩)
韮山駅 15:30
↓
原木駅 15:32
原木駅 15:47
↓
伊豆仁田駅 15:49
伊豆仁田駅 16:11
↓
大場駅 16:14
大場駅 16:29
↓
三島二日町駅 16:33
三島二日町駅 16:49
↓
三島田町駅 16:51
三島田町駅 17:07
↓
三島広小路駅 17:08
↓ (徒歩)
三島駅