31.初心者向け 初めて大回り乗車をやってみた。

初めて大回り乗車をやってみた。

初めて大回り乗車をやってみました。初心者向けのごく簡単な大回り乗車です。
ところで大回り乗車とはどういうものか、分かりやすい単純な例を上げてみます。
東京駅から神田駅まで行く場合です。
普通であれば、山手線内回りを利用し、1駅で着きます。運賃も140円です。
これを山手線外回りで神田まで行った場合、神田は28駅目になりますが、運賃は内回りを利用した場合と同じ140円で済みます。

JR各社が設けている6つの大都市近郊区間内では、普通乗車券または回数乗車券で利用する場合、実際に乗車する経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することができるという特例があり、これを利用してわざわざ遠回りをして目的駅まで向かうというのが大回り乗車です。
ただし、通過する駅が重複しなければ乗車経路は自由に選べますが、途中下車はできません。

6つの大都市近郊区間は、「東京近郊区間」、「大阪近郊区間」、「福岡近郊区間」、「新潟近郊区間」、「仙台近郊区間」ですが、中でも「東京近郊区間」はその区間が圧倒的に広く、丸一日かけて関東一都六県をすべて乗り倒すという強者もいるようです。

大都市近郊区間内のみを利用する場合の特例の詳細は ⇒ こちら

今回この特例を使って初めて大回り乗車をやってみました。
初めてなので無理をせず、小さな範囲での大回り乗車ですが、定番ともいえる非電化路線の八高線はしっかり組入れてみました。
車窓とかの写真はなく、車両の状況や乗換駅構内の売店等の情報を中心とした解説風の記事になることをご容赦ください。

1.実際に乗車した区間

出発駅:宇都宮線久喜駅
到着駅:宇都宮線東鷲宮駅
運賃:140円
所要時間:5時間39分
ちょっと事情があり久喜駅からのスタートになりましたが、大宮駅から土呂駅でも同じようなコースが取れます。

赤い線の路線を時計回りに回りました。

久喜 11:27
(宇都宮線)
大宮 11:42
大宮 11:57
(埼京線)
川越 12:19
川越 12:34
(川越線)
高麗川 12:51
高麗川 13:03
(八高線)
高崎 14:27
高崎 14:35
(両毛線)
小山 16:23
小山 16:41
(宇都宮線)
東鷲宮 17:04

2.車両や乗換駅構内の情報

①久喜から高麗川まではそれぞれの乗車区間も短く、仮に座れなかったとしてもそれほど苦痛ではないでしょう。因みに宇都宮線や高崎線の列車は前後各2両計4両がセミクロスシートの車両になっています。

②大宮駅はエキナカが大変充実していて、見て回るだけでも楽しいのですが、宇都宮線・高崎線ホームと川越行のホームが結構離れているので余裕を持って移動する必要があります。

③川越駅は大宮駅とは比べるべくもありませんが、コンビニ、コーヒーショップ、蕎麦屋が改札内にあります。

④次は高麗川駅から八高線に乗るのですが、高麗川駅構内には自販機があるだけで、お店はありません。ここから高崎まで1時間半の旅、食料は大宮か川越で調達しておきましょう。なお、トイレは駅構内にありました。

⑤さて、次はいよいよ非電化路線の八高線です。北海道のローカル路線と比較しては可哀想ですが、気動車の振動や自然が残る車窓など、ローカル線の雰囲気を一応楽しむことができます。座席もセミクロスで、ボックスシートは片側が2人づつ向かい合わせの4人掛け、もう片側は1人づつ向かい合わせの2人掛けと一人旅には嬉しいボッチシートも用意されています。
ただ、18きっぷのシーズンだったせいか、普段からそうなのかわかりませんが車内は結構混んでいて、高麗川を出て暫くは立っている乗客もいましたし、終点の高崎まで乗車したままの客もちらほら見かけました。
私の乗った列車はワンマンカーの表示がありましたが、車掌さんが最後まで乗車していました。車内で切符拝見はありませんでしたが、もし検札を受けたら、大回り乗車について何か言われないだろうかと、ちょっとどきどきしていました。


今回一番楽しみだった八高線の非電化区間。首都圏ではなかなか乗る機会のないキハ100


発車10分前でこの状況。発車間際には満席になりました。

⑥倉賀野駅で高崎線に入り終点高崎駅に到着です。もし、熊谷、大宮方面へ向かう場合は倉賀野駅で乗り換える必要があります。高崎まで行って熊谷、大宮まで戻ると通過する駅が重複してしまい、大回りの乗車のルールに反してしまいます。

⑦高崎駅は改札口を出るとレストランや群馬の銘品が充実した「イーサイト高崎」などがあるのですが、大回り乗車では残念ながら改札口を出れません。でも、改札内にもコンビニがあり、駅弁も販売していますし、駅そばも八高線が到着する2~4番線ホームと在来線と新幹線の乗り換え口の2箇所にあります。


高崎駅構内の駅弁屋上州。高崎と言えばだるま弁当ですが、ここで買えます。


だるま弁当の中身ですが、具が充実しています。

⑧高崎から小山までは両毛線の旅です。通学などの生活路線ですが、足利や国定などの歴史を感じる駅名や、車窓に広がる赤城山、また、渡良瀬川や利根川などの河川を横切ることも多く、なかなか楽しめます。
クロスシートの車両もあるようですが、乗った車両はオールロングシート。生活路線だからやむを得ないと思いますが、列車の旅の魅力は半減ですね。

⑨小山で乗り換え、大回り乗車の最後の路線です。新幹線も停まる小山駅はエキナカもなかなか充実していて、本屋、ドラッグストア、リトルマーメイド、ベックスコーヒーなどが入っています。

⑩小山から終点の東鷲宮までは宇都宮線です。上野東京ラインの国府津行ですが、さすがにこの辺りは車内もガラガラ。わずか25分ですが先頭車両のボックスシートで寛ぎます。それにしても宇都宮から沼津まで一本で行けるんですよね。

⑪お隣の久喜駅を出て5時間半、ようやく終点の東鷲宮駅に到着です。さて、自動改札機ですが、やはり切符を通すとピンポ~ンとなってゲートが閉じられました。有人改札へ向かい「大回り乗車をしたんで」と言うと、「あっ、はい」と何も聞かれずにあっさり通してもらえました。

この「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」は、当然ながら鉄道ファンの大回り乗車のために設けられたものではありませんが、不正乗車ではありませんし、たまには初乗り140円で一日列車に乗りっぱなしというのもいいんじゃないでしょうか。
次回は房総辺りを回ってみたいと思っています。

26.「あおもりホリデーパス」はかなりおトク!

「あおもりホリデーパス」はかなりおトク!

普通列車の旅での定番はやはり青春18きっぷですが、場合によってはフリーエリアが限定されたフリーパスを使ったほうがおトクなこともあります。
その一つがJR東日本が販売している「あおもりホリデーパス」です。
フリーエリアは青森を中心に、東は久慈、北は大湊、三厩、西は弘前、五所川原までで、青春18きっぷでは途中下車に制限のある青い森鉄道も全線(青森-目時)乗り降り自由となります。
利用期間は、通年の土休日のほか、GW、夏休み、冬休み期間中に設定があります。
有効期間は1日、料金は大人2,470円(小児1,230円)ですが、「大人の休日倶楽部」会員用の設定があり、料金は1,230円という安さです。(ただし、利用期間に制限があり、平成29年は7月1日~9月30日までの土・休日及び7月20日~7月31日、8月8日~8月31日となります。)

利用期間やフリーエアリアなど詳細はこちら

このおトクな「あおもりホリデーパス」を使ったおすすめのプラン紹介します。

 

A.青森~陸奥湊朝市~恐山

陸奥湊の朝市、市場での朝食を楽しみ、恐山へ向かうプランです。快速「リソートあすなろ下北」号を利用します。

所要時間:約13時間
青森駅6:12(青い森鉄道)八戸駅7:49/7:55(八戸線)陸奥湊駅8:17
陸奥湊駅9:25(八戸線)八戸駅9:41/10:51(リゾートあすなろ下北1号)下北駅12:39
下北駅12:50(下北交通バス)恐山13:33
恐山15:00(下北交通バス)下北駅15:40/16:04(リゾートあすなろ下北4号)野辺地16:54/18:07(青い森鉄道)青森18:56

ちなみにこのルートだと、リゾートあすなろ下北の指定席料金を除いた運賃は7,330円にもなり、「あおもりホリデーパス」(2,470円。大人の休日倶楽部会員用だと1,230円)がいかにおトクかがわかります。

朝一番に青森を出るのは、陸奥湊駅前の「八戸市営魚菜小売市場」で朝食を楽しむためです。


陸奥湊の駅前で迎えてくれるイサバのカッチャ


これが八戸市営魚菜小売市場です。市場内で買ったご飯・みそ汁などと組み合わせて、オリジナルの朝市ごはんを作ることができます。


一人用に小分けされたものも多く、一人でも色々なものがいただけます。朝5時頃からやっていて、10時頃には店じまいする店も出てきます。


マイセレクト朝食。これで950円


豪華に丼にしてみました。


美味しい朝食でお腹が一杯になったら、次は恐山へ向かいます。まず、八戸まで戻ります。


八戸からは、土日中心に運行されている快速「リゾートあすなろ下北」号を利用します。使用車両は、五能線の「リゾートしらかみ」にも使用されている「ハイブリッドシステム」を搭載したHB-300系です。


本州最北の駅である下北駅到着。駅前から下北交通のバスで恐山へ向かいます。所要時間は45分ほど。


恐山の手前、冷水という場所でバスは少し停まります。


天然のヒバ林に囲まれた湧水はその名の通り冷たく、ここで手を洗い、口をゆすぎ、霊山恐山に入る前に清めます。
冷水を1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返るという不思議な水と言われていますが、死ぬまで若返るってどういうこっちゃ?


三途の川を渡ればもうそこは恐山です。


日本三大霊山の一つに数えられる恐山に到着。山門をくぐると、岩場が一面に広がり、硫黄の臭いも漂っています。


宇曽利湖とその湖畔に広がる極楽浜。見たことはありませんが、おそらく極楽とはこういう場所だと思わせる風景が広がります。


このプランだと恐山の滞在時間は約1時間半ですが、恐山境内にある温泉にぜひ入ることをお勧めします。


温泉は4か所ありますが、いずれも硫黄臭いの強い濁った温泉で、泉質はもちろん雰囲気も最高です。
ただ、体に硫黄の臭いが染み付くかもしれません。(洗い場はありません。)


硫黄の臭いが取れないようなら、青森に帰る途中浅虫温泉駅で途中下車しましょう。


青森の奥座敷と呼ばれる浅虫温泉は、街中至る所で湯けむりが。


源泉かけ流しを楽しめる公衆浴場「松の湯」でさっぱりするのもいいかもしれません。

 

B.青森~陸奥湊朝市~久慈~三陸鉄道北リアス線

陸奥湊の朝市のあと、久慈まで向かい、久慈~宮古間をあまちゃん鉄道(三陸鉄道北リアス線)で楽しむプランです。

所要時間:約15時間
青森駅6:12(青い森鉄道)八戸駅7:49/7:55(八戸線)陸奥湊駅8:17
陸奥湊駅10:22(八戸線)久慈駅11:51/12:15(三陸鉄道北リアス線)宮古駅13:54
宮古駅15:09(三陸鉄道北リアス線)久慈駅16:49/17:01(八戸線)八戸18:56
八戸19:35(青い森鉄道)青森21:07

※久慈12:15発の列車には、一般座席車(自由席)にお座敷車(指定席。運賃の他に指定料金510円必要)が連結されています。(7月15日~10月9日までの土・日・祝日(うち8月5日~8月15日までは毎日)運行)
また、同期間には宮古発14:40のお座敷車1両の臨時列車も運行されています。

ちなみにこのルートだと、三陸鉄道を除いた運賃は7,200円になります。うち4,560円が青い森鉄道の運賃ですから、青い森鉄道が自由に乗り降りできる「あおもりホリデーパス」はやはりおトクだと思います。


久慈へ向かう八戸線の車窓には太平洋が広がります。


ホームから投げ釣りができそうなほど港のすぐそばにある陸中八木駅


久慈駅で三陸鉄道北リアス線に乗り換えです。


一般座席車に連結されたお座敷車


お座敷列車。空いていればいいけど、混んでいればお一人様には居心地は悪いかも。


あいにくの天気ですが、あまちゃんで有名な風景です。


JRの宮古駅とは別にある三陸鉄道の宮古駅


土砂流入や東日本大震災の影響で現在多くの区間が不通になっている山田線ですが、今年度全線営業再開予定で、同時に宮古~釜石間は三陸鉄道に運営移管予定です。


宮古駅前の有名な寿司屋「蛇の目本店」


お店で食事を取る時間がない場合、テイクアウトし、お座敷列車に持ち込むことも可能です。