かつて日本一の赤字路線だった美幸線の今
かつて、国鉄時代に「日本一の赤字線」と言われたのが美幸線です。
北海道中川郡美深町にある宗谷本線の美深駅から同町内の仁宇布駅までを結んでいた全長21.2㎞の路線ですが、廃止前年の1984年(昭和59年)度の営業係数は4,731、要するに100円稼ぐのに4,731円の費用がかかるとんでもない赤字路線だったわけです。
結局、翌年の1985年(昭和60年)9月に廃止されたのですが、廃止後10年以上経った1998年(平成10年)からNPO法人「トロッコ王国美深」が廃線跡の一部を利用してエンジン付きトロッコを運行しています。
旧仁宇布駅を起点として、手前美深方面へ5㎞程の廃線を自分でエンジン付きトロッコを運転することができます。(運転する場合は免許証が必要)
人工的に整備された廃線跡はあまり興味を引かないのですが、ここは別です。かつての国鉄の路線、小さな鉄橋や踏み切りもそのままの線路の上を、そして林の中を往復30分ほどかけて走るのですから、鉄道ファンでなくてもたまらないと思います。
手漕ぎ、足こぎのトロッコは他でもあると思いますが、エンジン付きトロッコはここだけではないでしょうか。
旭川から車で約2時間、付近は携帯の電波も届かない場所もある、そんな不便な場所ですが、夏休みなどは2時間、3時間も待ちもあるそうです。
宗谷本線を利用して行く場合、最寄駅は特急も停車する美深ですが、路線バスがないため、美深町の仁宇布線デマンドバスを利用することになります。
<仁宇布線デマンドバス時刻表>
美深発仁宇布行き
仁宇布発美深行き
所要時間は約25分、運賃は550円です。
サハネ581がなぜか保存されていました。国鉄からJR北海道に継承された何両かの1台だと思いますが、こちらに置かれている理由はわかりません。ただ、かなり傷んでおり保存状態は良くありませんでした。
警報機のある踏切は宗谷本線と共用のものを除けば1箇所だけだったらしい美幸線、このような踏切が多かったんでしょうね。
しばらく走ると線路は林の中に入ります。この辺りは携帯の電波も入りません。
こちらがエンジン付きトロッコ。実際のスピードはともかく、低い車体なこともありかなりのスピード感を感じます。
折り返し地点には以前は転車台があったようですが、今は自走で折り返すことができるようになっています。
廃線のその後は、すべてが撤去される場合もあれば、朽ち行くままに放置されるケースもありますが、美幸線のその後は恵まれた第二の人生と言えるのでしょう。