10.普通列車にも乗りたい五能線の旅

10.普通列車にも乗りたい五能線の旅

全区間の6割近くで日本海の風光明媚な車窓を楽しめることが人気の五能線、乗ってみたいローカル線で常に上位にランキングされていますが、全線(東能代-川部間)乗れば快速リゾートしらかみで3時間以上、各駅停車の普通列車では4時間半もかかります。
さすがに飽きるのではないかとおもいきや、変わった形の大小の岩が連なる海岸が現れたかと思えば波の静かな砂浜が見え隠れし、トンネルを抜けると小さな漁港が目に飛び込んで来る、しかも場所によっては透き通った青い海の底が見えるくらいの海岸線ぎりぎりを走るなど、ずっと眺めていても飽きの来ない車窓、これが人気の理由のようです。

さて、五能線を旅するならやはり「リゾートしらかみ」でしょうか。
青春18きっぷでも指定席料金(520円)だけで乗れる臨時快速列車ですが、大きな窓、ゆったりした座席、車内外のイベントもあり、快適に五能線を旅することができます。また、夏季は毎日運行、その他の季節も土日中心に1日の本数も多いという利便性もあります。
しかし、全線とはいいませんが、一部の区間でも普通列車にぜひ乗りたいのが五能線です。これからの季節のいい時期ならキハ40・48形の窓を大きく開け、日本海の爽やか海風を顔いっぱいに受けて、五能線の魅力をよりいっそう感じることができます。
そんなわけで、普通列車も利用するプランをいくつか紹介します。いずれも秋田発で設定しています。

 

A.秋田発 弘前・青森方面 普通列車で全線制覇するプラン
秋田を早朝出れば、東能代駅で五能線上下線通じて唯一の全線直通普通列車(弘前行)に接続します。弘前まで6時間の旅ですが、まさに「普通列車の旅」の醍醐味が味わえそうです。

秋田6:15(普通列車)東能代7:12/7:23(普通列車)弘前12:20

五能線を走る普通列車

 

B.秋田発 弘前・青森方面 一部区間を普通列車に乗車し、途中不老ふ死温泉の露天風呂を楽しむプラン
五能線のハイライトともいえる深浦-鰺ヶ沢間を「リゾートしらかみ」と普通列車両方に乗車します。途中ウェスパ椿山駅で下車し、日本海が目の前に広がる不老ふ死温泉の絶景露天風呂を満喫するプランです。
ウェスパ椿山駅と不老ふ死温泉間は列車の発着時間に合わせて送迎バスが出ていて、「リゾートしらかみ」利用の場合は予約不要です。

秋田8:20(リゾートしらかみ1号)ウェスパ椿山10:35/13:18(リゾートしらかみ3号)鰺ヶ沢14:36/14:53(五能線・普通列車)深浦15:49/16:39(リゾートしらかみ5号)青森

窓の開かないリゾートしらかみと違って、普通列車だと窓が大きく開きます。

すぐ目の前が日本海という不老ふ死温泉の絶景露天風呂。黄土色のお湯も素敵です。

 

C.秋田発弘前・青森方面 一部区間を普通列車に乗車し、途中世界遺産白神山地の一角にある十二湖の散策を楽しむプラン
五能線のハイライトともいえる深浦-鰺ヶ沢間を「リゾートしらかみ」と普通列車両方に乗車します。途中十二湖駅で下車し、世界遺産白神山地の一角にある十二湖の散策を楽しむプランです。
十二湖駅前10:35発のバスに乗り、奥十二湖駐車場12:30発のバスで帰ってくれば、1時間半ばかり十二湖の散策の時間が取れます。

秋田8:20(リゾートしらかみ1号)十二湖10:23/13:06(リゾートしらかみ3号)鰺ヶ沢14:36/14:53(五能線・普通列車)深浦15:49/16:39(リゾートしらかみ5号)青森

十二湖の一つ「青池」はその名の通り青いインクを流したような透明度の高い青色です。

 

D.秋田発 弘前・青森方面 途中十二湖散策と途中不老ふ死温泉の露天風呂両方を楽しみながら、普通列車にも乗車する欲張りなプラン
十二湖での散策の時間が45分程度となってしまい青池(バス停から徒歩10分程度)見学くらいしかできません。また、普通列車の乗車も十二湖-ウェスパ椿山間の15分程度ですが、限られた時間の中でとりあえず色々やってみたい、という方にはこういう選択肢もあるかと思います。不老ふ死温泉では余裕を持たせたプランになっています。

秋田8:20(リゾートしらかみ1号)十二湖10:23/12:12(普通列車)ウェスパ椿山12:28/16:22(リゾートしらかみ5号)青森

ウェスパ椿山駅に入線するリゾートしらかみ

 

9.JR東海 東海道線を普通列車で快適に。 特急用車両で行く臨時快速「さわやかウォーキング号」

特急用車両で運転、臨時快速「さわやかウォーキング号」

JR東日本管内の東海道線を運行する普通列車には2階建グリーン車が連結され、普通車両にも一部クロスシートがあります。それに比べて同じ東海道線でもJR東海管轄の静岡県内(熱海-浜松間)はロングシートばかり。ある鉄道ファンが「味気ない」と言っていましたが、せっかく車窓のいい区間も走るにも関わらず、旅の楽しみが半減以下です。JR東日本のように季節の増発列車が運行されることもありませんし、青春18きっぱーに静岡ロングシート地獄と言われる所以です。

ただし、不定期で季節の増発列車でもお知らせされない臨時列車が運行されることがあります。
臨時快速「さわやかウォーキング号」です。

さわやかウォーキングとは、JR東海が土日祝日(7・8月を除く)に企画・主催するウォーキングイベントです。決められた駅に集合して決められたコースを回り、決められた駅に戻ってくるというイベントです。
たとえば、6月3日(土)は東海道線興津駅をスタートし、由井駅がゴールの「富士山と駿河湾を眺めながら散策する薩埵峠」のコースが開催されます。
スタート駅までは参加者がそれぞれ電車で行くのですが、たまにさわやかウォーキングの開催に合わせた臨時快速列車が運行されることがあります。これが特急用車両が使われることが多い「さわやかウォーキング号」です。

5月、6月に運行されるのは次の2本で、いずれも特急用車両の373系3両編成です。
①5月28日(日)浜松-(東海道線・身延線)-下部温泉
②6月25日(日)静岡-(東海道線・身延線)-内船

詳しくはJR東海の案内

本来は、さわやかウォーキング参加者の利便性を図るための列車ですが、指定席料金(520円)を支払えばだれでも利用できますし、途中乗車・下車も可能です。
①の列車を浜松-富士の東海道線の区間だけ利用する場合、約1時間半を快適に過ごすことができます。
この時期は青春18きっぷの期間ではありませんが、土日であれば、JR東海の「休日乗り放題きっぷ」(2,670円)を利用することで、浜松-富士間往復3,880円よりかなり割安になります。

「さわやかウォーキング」号は青春18きっぷのシーズンに運転されることもあり、今年の3月25日には沼津-三河安城(帰路は安城-沼津)間で運転され、6両編成の車両が青春18キッパーと思しき人たちで満席状態となっていました。